「フォトリーディング」は、短期間で大量のインプットを可能にする速読術です。特殊な目の使い方で、写真を撮るように本の情報を脳に送りこんでいきます。
フォトリーディングは、今から20年ほど前、開発者のポール・R・シーリィ氏が、IDSアメリカンエキスプレス社の依頼を受けて開発されました。この新しい情報収集の方法は、現在の情報化社会ではなく、その先にある知識創造社会に必要な知識です。
情報化社会は、2008年末の時点ですでに終焉したという説があります。それまでの情報化社会は、事実を情報に変換することが価値を生む時代。そのため、情報を収集・整理できることは、大きな付加価値でした。しかし、2008年末にブロードバンドのインフラがほぼ完備されたことで、誰もが検索エンジンを用いて情報を入手するようになりました。つまり、情報入手のための手段が広く多数に共有されるようになったということです。
このことは、現代が情報を得るだけではなんの付加価値も生まない時代になったということを表しています。情報を収集・整理するだけなら子どもでもできるのです。情報インフラが完備された社会では、情報を収集するだけでなく、実体験や知識をもとに分析・編集を繰り返し、新しい知識を創造し、さらに実践して検証し、結果を出すことではじめて、付加価値を生み出すことができます。1を10にするのではなく、0から1を生み出す能力が求められているのです。
世界中にはりめぐらされたネットワークの上で、膨大な料の情報がやり取りされている現代。しかも、生活は忙しくなる一方でそれだけの情報量を処理するだけでも困難です。そんな時代を生き抜いて成功していくためには今までの何倍ものスピードで情報を処理するスキルが必要になります。
その、情報処理の速度を格段に上げるためのスキルがフォトリーディング。フォトリーディングは速読法のひとつですが、それだけでなく、自分の持っている才能を引き出し、急速に伸ばすことができる方法です。この常識を超えた読書法を学ぶことで、脳がもつ莫大なリソースを活用できる学習体験ができるようになります。
人間の脳は、人類が知る限り最高の情報処理マシーンです。フォトリーディングは、そのすべて、全脳を活用する具体的かつ実践的なテクニックといえます。フォトリーディングは単に速く読むだけでなく、いままでの何倍ものスピードであららしい知識を学ぶ方法なのです。
フォトリーディングでは、毎秒1ページを超えるスピードで、情報を映像として高性能のデータ処理能力を持つ脳に送り込みます。新しい情報はそこで既存の知識と結びつき、本を読むという目的を達成するために働いてくれるのです。しかも、限られた時間のなかで読了することはもちろん、自分が必要とするレベルの理解を得ることができます。フォトリーディングを活用することは、いままで気づいていなかった脳の仕組みや特性を理解し、それを活かすことにつながるはずです。そして、限界のある意識の領域を飛び出し、自分がもつ本来の才能を目覚めさせることができます。
フォトリーディングには数々の成功事例があります。
これら実例は、実はほんの一部です。フォトリーディングを学んだ人は、さまざまな場面でこのスキルが役立っていると言います。レポート作成、難関試験の合格、成績アップ、学位取得、会議での発言、社内での昇進など多種多様な成功を生み出しているのです。また、読書量が飛躍的に増えたことで、読書自体が楽しくなったという声もあります。
フォトリーディングに必要なのは、新しいアイデアを試す意欲とリラックスして楽しむ気持ちです。フォトリーディングを学ぶことで、真の才能を開花させることができます。読むという行為は、仕事のうえでも私生活のうえでも、大きなパワーの源になります。経験したことのないような効率で、活字情報を脳に取り込むことは、驚きと喜びに満ちたクオリティ・オブ・ライフをもたらすのです。
フォトリーディングは、5つのステップを通して身につけることができます。
効果的な読書は、明確な目的を持つことから始まります。これは、読書をした結果、何を得たいかを意識的に決めるということです。たとえば、ざっと要点をつかみたいのか、ある問題を解決するための方法が知りたいのか、もしくは仕事を完成させるためのアイデアを探しているのか。読書の目的をはっきりさせることで、読むべき場所が明確になり求めている結果を生むために働きかけることができるのです。
目的が明確になったら、心身をリラックスさせて集中力を高めていきます。それが、読書や学習にもっとも理想的な「集中学習モード」です。この状態では、退屈や不安を感じることはありません。努力はするものの、結果を心配することはないのです。
学習において、全体から部分へと把握していくこと、すなわち「まずは、森を見よ」ということは重要な原則です。効果的な学習には、森全体を見渡してから、木々に目を移し、最後に枝葉を見ていくという流れが重要。そして予習は、この森を見る段階に相当します。
予習のやり方は、本であれば90秒、長い文章なら60秒、短い文章は30秒ほど目を通し、どんなことが書かれているか全体の概要をつかむというもの。そして、再度目的を明確にし、その文書を読み進めるかどうかを決めるのです。
そして、心身ともにより深くリラックスしながら、さらに集中力を高めた状態「加速学習モード」に入り、フォトリーディングを始めます。この状態では、気が散ることがなくなり、緊張や不安も感じません。そのうえで、視線を「フォトフォーカス」の状態にします。これは、一つひとつの単語に焦点を合わせ目で追っていくのではなく、ページ全体を一度に見るという目の使い方です。視界をゆるめ、周縁視野を広げてページの四隅を見るようにします。
この「フォトフォーカス」の状態は、脳に視覚的刺激を送り込む、身体的かつ精神的な窓の役割を持つのです。ページ全体を脳の写真に撮り、無意識の情報処理プロセスに送り込むことで、それぞれのページの視覚刺激が直接、神経の反応を引き起こし、意識的な分析的・論理的思考プロセスに邪魔されることなく、脳のパターン認識力が発揮されます。
フォトリーディングが終わったらすぐに復習に取り掛かります。復習ですべきことは、
の3つです。
まず、1分でもう一度文書全体を調査し、見出しや図表、グラフ、太字で書かれている箇所など、自分の目的に関係があり、なおかつ興味をひかれる部分を調べます。このとき、文書全体の構成を把握するようにするのがポイントです。それは、著者がどのように持論を展開していくかは、文章の構造に表れるからです。文書の構造を知っておけば、より正確にその内容を理解することができます。
次に取り組むのは、トリガーワードを見つけること。トリガーワードとはページのうえで自分の注意をひきつけるキーワードのことです。トリガーワードによって関心が高められ、脳が活性化し、神経細胞が結合。連想が引き起こされます。すべてのページに丹念に目を通す必要はなく、20ページ程度ごとにひとつトリガーワードを拾い出せれば十分です。
最後に、自分の中にふつふつと浮かんできた「これはどういうことなのだろう?」「筆者は何を言いたいんだろう?」といった疑問を書き出していきます。質のよい質問提起ができれば、それだけレベルの高い答えを素早く得ることができます。そしてその答えを得る作業が、フォトリーディングの最後のステップです。
活性化の最初のパートは、文書を脇によけておくことです。時間は短くても20分、丸一日置いておいても構いません。その間に、フォトリーディングで無意識に取り込まれた情報が熟成されていきます。活性化では、復習の際に作った質問を使ってもう一度脳を刺激し、文書の中で自分がひきつけられると感じる箇所を調査するのです。
最後に、自分の中にふつふつと浮かんできた「これはどういうことなのだろう?」「筆者は何を言いたいんだろう?」といった疑問を書き出していきます。質のよい質問定期ができれば、それだけレベルの高い答えを素早く得ることができます。そしてその答えを得る作業が、フォトリーディングの最後のステップです。
そして、ここからどう文書を読んでいくのかは自由。自分の目的に合わせた活性化の方法を選ぶことができます。たとえば、ページの真ん中にさっと目を走らせることで、重要な箇所を探していく「スーパーリーティング」や、見つかった箇所の詳細を理解するために入り込んで読む「ディッピング」など。活性化は脳全体を利用して、文書と意識的なつながりを作り、目的を達成するためのステップです。
フォトリーディングについて大まかな流れが理解できたら、実際に学びに来てください。
フォトリーディング・ホール・マインド・システムの開発者。1975年より人材開発の研究を始める。ミネソタ大学・理工学部にて生物学の学士号を取得。セントトーマス大学院・人文学部で学習と人間開発に関する修士号取得。アンティオキア大学の博士課程で、リーダーシップと変革おいて博士号取得。神経言語プログラミング(NLP)・加速学習における世界的権威。脳科学に関する深い造詣と、科学的根拠に基づいた彼の教育法は、人間の高い可能性を秘めた潜在能力を引きだすことで有名。 ビジネス界をはじめ、各界からも注目を集めている。世界各国の企業や政府のコンサルタントも務める。アメリカでは経営者およびリーダー層向けに講演を多数行っている。著書に『潜在能力であらゆる問題が解決できる』『[新版]あなたもいままでの10倍速く本が読める』(以上、フォレスト出版)。最新刊“Drop Into Genius”