大量にインプットした知識や情報を、論理的に整理してアウトプットするための方法がロジカルシンキングです。
外資系コンサルタントや東大合格生など、頭のいい人はきまって方眼ノートを使うと言います。それは、方眼ノートがタテ・ヨコの線をガイドラインにして、図や表、グラフや絵が描きやすいから。すると、視覚に訴える見やすいノートになり、パッとみただけで内容がわかるようになります。
「「いきなりパソコンに向かうな」——。開発者の高橋政史氏は、マッキンゼーに勤めていたころ、役員だった上司からこう言われ、A4の方眼ノートを手渡されました。そして、方眼ノートを使い始めると、思考がみるみる整理されるようになり、パソコンに向かう時間はすぐに半分以下に。資料作成の質とスピードが格段に上がったことで、「ノートは単にメモをする『道具(ツール)』以上パワーを秘めている」と気付きました。
さらに方眼ノートは再現性にも優れており、メモした内容はもちろんそのときの熱気や高揚感まで同時によみがえってきます。思考の整理と熱い気持ちの再現を両立できる方眼ノートは、ビジネスや学習のうえで戦略的な武器になるのです。
ノートを使う目的は、学校の勉強のため、受験のため、就活のため、仕事で使うためとさまざまですが、ロジカルシンキングにおける方眼ノート活用の目的は、「人生のステージを変える」ことです。たとえば東大受験生は、東大合格という次のステージへのぼるために、ノートを美しく整理された見やすいものに進化させます。また、マッキンゼーをはじめとする外資系コンサルタントが、入社すると同時に方眼ノートを使うようになるのも同じ理由からです。
第一志望の学校や会社に入りたいなら、まずはノートを見直すべきです。学習塾に通ったり、セミナーを受講したりするとき、その努力を最大限活かすためには、学んだことを再現できるノートを書くことが必要です。どれだけ素晴らしい学びがあっても、その内容を再現できないノートを書いているとしたら、せっかく得た知識やスキルも無意味なものになってしまいます。ノートの生命線は再現性。再現性の高いノートを書くことが一番の目的といえます。
もし、「学んだことを再現できない」と感じることがあるとしたら、その原因は受けた授業やセミナーの質が悪いことでも、自分の能力が低いことでも、やる気や努力が足りないことでもなのです。原因は学んだことを再現できない、能力にフタをするノートを書いていることにあります。大切なのは、学習塾に通うことやセミナーを受けること自体ではなく、そこで得た知識やスキルをいかに素早く再現し、実行できるかどうか。そのために、能力にフタをするノートを手放し、頭がよくなるノートへシフトするべきです。
一見、きれいに書かれているノートでも、見返したときに学んだことを再現できないということはよくあります。それは、ノートをとる目的や、あとで見返したときにどう活かすのかという考えが盛り込まれていないからです。ノートは、忘れないために記録をとったり、黒板やホワイトボードを丸写ししたり、なんとなく習慣でメモをとったりする、単なる道具ではありません。人生のステージを変えるための武器として活用しましょう。
開発者の高橋政史氏がのべ2万人のノートを見てきた結果、99%もの人が能力にフタをするノートを使い続けていることがわかりました。その原因は、これまでノートの使い方を教わる経験がなかったからです。
ある通信会社で研修を行った際、「ノートの使い方を教わったことがありますか?」という質問に、受講生100人中、99人が「教わったことがない」と答えました。一方、東大合格生のなかには、学校や予備校の先生、なかには父親からノートの使い方を教わったことがあるという人が少なくないのです。また、外資系コンサルタントにいたっては、入社してすぐ方眼ノートを手渡され、さらに上司が赤ペンで添削をすることで、日々ノートスキルを磨いています。
つまり、頭がよかったり、勉強ができたり、仕事ができたりする人は、人生のどの段階かで、能力にフタをするノートを卒業し、頭がよくなるノートへと乗り換えているのです。
学んだことの再現性が高い、頭がよくなるノートを書くためには3つの法則があります。
東大や京大といった難関大学の合格者や、マッキンゼーやBCGをはじめとする外資系コンサルタントが使う方眼ノート。まず、方眼ノートを使うだけで、パッと見ればすぐに内容を理解できる、頭がよくなるノートへと生まれ変わります。
ノートの上部にある白いスペースは、空白のままにしていたり、日付を記入するだけだったりという人がほとんどです。でも実は、この余白スペースは、ノートの最重要スペースといえます。方眼ノートの上部のスペースには、新聞のように見出しをつけます。見出しを入れるだけで、理解スピードは格段に上がります。
方眼ノートは、左から右へタテに3分割して使います。そして左から順に「事実」「解釈」「行動」の流れで書いていきます。この3分割して書くという方法は、東大合格者や外資系コンサルタントが共通して活用している方法です。
以上の3つの法則にのっとってノートを書くようにすれば、頭の回転が速くなり、勉強や仕事の効率が劇的に変わっていくのです。
クリエイティブマネジメント株式会社 代表取締役。メーカー勤務時代に3tトラック1台分の営業資料を畳4畳半ほどにスリム化。その後、香港のマーケティング 会社のCOO(取締役)を経て、戦略系コンサルティングファームにて経営コンサルタント。のべ2万人超に「ノートスキルの指導」を実施し、主な導入企業は、IT企業、外資系コンサルティング会社、金融機関、通信会社、外資系金融機関、商社、不動産会社、自動車メーカー、事務機器 メーカー、通販会社、流通企業、精密機器メーカー、医療機関他、200社を超える。 また、「ノートスキルの指導」の私塾も主催。ビジネス・パーソン、経営者、教育関係者、医師、現役官僚、大学教授、政治家まで、幅広い層が参加している。 著書は、"2012年Amazon Kindle年間総合ランキング6位(ビジネス書では1位)"となったベストセラー『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』をはじめ『100のスキルよりたった1つの考え方で仕事が変わる』『必要な知識を15分でインプットできる速読術』(クロスメディア・パブリッシング)、『マインドマップ 問題解決』『マインドマップ会議術』(ともにダイヤモンド社)。1967年、群馬県高崎市生まれ。